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パパファイルロングインタビュー

『みんなで考える横浜の救急
~こどもの救急医療~』トークショー

2012年9月9日(日)
会場:クイーンズスクエア クイーンズサークル

クイーンズサークルにて『みんなで考える横浜の救急~こどもの救急医療~』(主催:横浜市消防局、健康福祉局)のイベントが開催され救急講習普及啓発&救命処置等のデモンストレーションの他、横浜在住のプロレスラーの蝶野正洋さんを招いたトークショーが催されました。横浜市の子どもの医療や子育て支援にかかわる方々も集い、小児救急について語り合いました。

<ゲスト>

蝶野正洋さん:横浜在住のプロレスラーで、救急救命啓発活動、AIDS予防啓発活動に力を入れている。6歳の息子と3歳の娘の二児の父。

“黒のカリスマ”蝶野正洋さん×ヨコハマダディ インタビュー記事はこちら

山田美智子さん:西区地域子育て支援拠点「スマイル・ポート」施設長。

岩崎志穂さん:浜市立大学附属市民総合医療センター、総合周産期母子医療センター 准教授。

■それぞれの立場が抱える現状

司会>>
蝶野さんはおふたりの子どもさんのお父さん。普段から子育てで大変だと思うことはどんなことですか?

蝶野さん>>
自分で歩いて、喋れる頃は、親のいうことをきいてくれない。それが一番大変です。今日もここに連れてくる際に、下の女の子が洋服を着るのに30分くらい手こずって、予定どおりにいかないかもしれないという心配がありました。子育てはスケジュールどおりにいきません。同様に病気やケガも突然やってきます。親としてはその分の余裕をもっておかないといけないと思います。

司会>>
蝶野さんは、救急講習を受けられたと聞いておりますが、子どもさんが、病気やケガをしたとき、どんなふうに対応されていらっしゃいましたか?

蝶野さん>>
お兄ちゃんが、小児ぜんそくからネフローゼという病気にかかり、先日は、マイコプラズマという病気にかかりました。子育てに慣れないうちは誰だって、対応に困りますよね。救急車は使ったことはありませんでしたが、深夜に症状が出て、救急外来にお世話になることも何度かありました。

編注) ※ネフローゼ症候群:腎臓の糸球体(ろ過機能をつかさどるところ)に障害が起こり、尿に大量のタンパクが出ることによって血液中のタンパクが不足し、むくみやタンパク尿の症状が出る。小児には、原因のはっきりしない突発性ネフローゼ症候群が多く見られる。 ※マイコプラズマ感染症:マイコプラズマという微生物によって引き起こされる、気管支炎や肺炎。

司会>>
山田さんは、普段から多くの親子をご覧になって気づくことはありますか?

山田さん>>
拠点にいらっしゃる方は、思い通りにはいかないなど子育ての相談や、子育ての仲間づくりや、情報を集めることを目的にしている方が多いです。 今、現場で感じているのは、子育ての子の字が孤独の「孤」になっていることです。孤独な育児だと、夜泣きだけでも疲弊してしまいます。周囲からの「お母さん、大変だよね。」といった声をかけや、共感が大切だと思います。

司会>>
西区は転入されてくる方が少なくないと思います。知らない場所で子育てする苦労がありますよね。たとえば、病院がどこにあるかなどのご相談を受けたことがありますか?

山田さん>>
とても多い相談です。小児科と皮膚科と耳鼻科の3つの病院に関しては、特に質問が多く出ます。まず近くにある病院をお知らせして、広場ではたくさん先輩ママがいるので、先輩ママのアドバイスを聞いてもらうようにしています。

司会>>
そうですね。お母さん同士のネットワークは重要だと思います。岩崎さんは、小児科医として、救急医療の現場で特に最近感じることはありますか?

岩崎さん>>
救急医療の現場でも、子育てが孤独の「孤」になっていることは感じます。このような状況では、たとえば夜泣きだけでも、不安になって受診してしまいます。昔であれば、おばあちゃんなどの周囲の第三者が「子どもだから急に泣くこともあるよ」と話をして安心できたような事例でも現在は受診してしまうことがあり、本当の意味で救急の受診が必要な方の待ち時間が長くなってしまいます。受診しなくても「大丈夫なんだよ」という助け合いがあると、医療の側も受診が必要な方を丁寧に診られるので、助かります。

司会>>
たとえば、一般の方で医療を知らない方は、どういう状態の時に診療所や病院に行けばいいか、適切に判断できているでしょうか?

岩崎さん>>
稀に、夜中に泣いたからといって救急車を呼ぶ方もいらっしゃいます。お子さんを連れてきたお母さんと話をすると、「先生は医者だから「泣いただけで連れてくるの?」という感覚かもしれないけど、私たち子育てはじめての人は、はじめて夜泣くとやっぱり不安になるし、親の救急なんだ」と言われたことがあります。

■それぞれの立場での現状の課題解決

司会>>
難しいとは思うのですが、医療者だけでなく、一般市民の方もこれからは家庭内での手当とかができるといいと思います。蝶野さんは、突然のケガの時、日常的にできることはありますか?

蝶野さん>>
定期的に同じ小児科に通うことだと思います。子どもの状態もわかりますし。お兄ちゃんのころには、同じ目的で複数の医療機関を受診したことがありました。お薬手帳があるので、お医者さんの同士の連携はとれるとは思いますが、続けて診察していないと、前回の症状などが伝わりにくいことがあります。 信頼できる、相性の合う先生をみつけることが大切ですね。近所でかかりつけ医を見つけることが一番いいです。かかりつけ医の先生は、電話で話せるようにしてくれましたので、子どもがいろいろな病気にかかったとき、親の方が支えられました。かかりつけ医の先生が相談相手になってくれるような、良い関係をつくっておくことが大切です。一人目の子で勉強させてもらいました。

司会>>
次に山田さん、子育て支援の立場で普段からできることで気づくことはありますか?

山田さん>>
かかりつけのお医者さんをもつことは、本当に大切です。お子さんが産まれた後、自分の家の近くに必ずかかりつけ医を探しておくことと、いざという時に、子どもの症状がいつもと違うことをお医者さんに伝えられるように、普段の元気な様子をしっかり見ておくことが大切です。

岩崎さん>>
蝶野さんと山田さんに全部言っていただいた感じですけど、赤ちゃんはしゃべれないので、いつもの様子を知っていることは、すごく重要です。 私たち医療者の間では、医者を転々と変えることを「ドクターショッピング」というのですが、色々な病院にかかると最初からの経過が分かりません。医者は段階を踏んで治療させていただいているので、薬が効かないから病院を変えると、二つ目の先生も前回どんな症状を診てどう治療したのかわかりません。実際に経過を自分の目でみて診断するのと、聞いた経過を基に診断するのとでは大きく違います。やはり最初は合う・合わないがあるので、何回か変えるのはいいのですが、この人に診てもらうと思ったら、あまりあちこち変えずに、同じ先生にしっかりと診てもらうというのがいいかと思います。

蝶野さん>>
お兄ちゃんの病気を診てもらった、かかりつけの先生は近所の方です。ずっと変えていないのですが、「ドクターショッピング」というのは結構ありますよね。一人目のときは特に、診てもらって治らないとか、熱が出て下がらないとかいう場合、親は焦っちゃって次々と受診する医療機関を変えてしまう・・。

山田さん>>
0歳児をもつお母さんは特にかかりつけ医に関して、不安と関心が高いです。私もママ達と近くの小児科はどこかなと話をしますが、先輩ママにつないで、先生や病院の様子を教えてもらうようにしています。具合の悪い時の受診の時だけではなく、予防接種で病院に行く時、どんなお医者様か確認するいい機会かもしれないよ。という話をしています。

司会>>
診療所は平日の昼間やっていますが、夜間や休日の場合は、横浜市では休日急患診療所というのがありますが、みなさんそれを知らない方が意外と多いですね。

山田さん>>
「こんにちは赤ちゃん訪問」の資料や、子育て支援施設ではじめて知ったというケースが多いですね。子どもが嘔吐(おうと)等で大変だったときに相談ダイヤルにかけたところ、看護師さんから「今はこういう状態で大変ですが、様子をみてください」と丁寧に応対され、夜中の電話相談は本当に心強いという声を聴いたことがあります。

司会>>
横浜市では救急医療情報相談ダイヤルということで、#7499で相談ができるようになっていますが、知らない方もまだまだ多いかと思います。

蝶野さん>>
家内が夏前に頭が痛くなって、医療機関案内を利用したら、脳外科の病院と先生を案内してもらい、とても助かりました。

岩崎さん>>
電話相談で看護師の方に「様子をみてください」と言われた方は、なるべくそうしていただいて、いざというときに救急病院に行ってほしいと思います。先ほど申し上げたとおり救急医療機関が混雑すると、本当に救急で医療が必要な方の治療がすすまなくなってしまいます。家で様子を見て、けいれんなど重大な事態になったら救急病院に行く、というふうに上手に病院を使った方が、自分たちのためでもあります。

司会>>
そうですね。医療資源は限られていますので、上手に使っていただきたいと思います。私も救急救命士、救急隊長として長年やってきましたが、親も子どもの状態がよくわらかないということが結構あります。そして子どもは、短時間で症状が変化しやすいです。救急隊としてもより気を付けています。 9歳以下の子どもと60歳以上のケガによる救急搬送が増えているようです。年代別のケガの予防というのも、家庭内はもちろん社会全体でも考えることが大切なのかなと思います。将来的には家庭内である程度、症状とかケガの緊急度が分かるようになって、社会全体で共有することが望ましいと思います。実はこれは国レベルで「家庭内トリアージ」といって検討されていることです。 親御さんがあわてないで、子どもの様子を見て、必要があれば記録する。そしてかかりつけのお医者さんをもつことが大切だと思います。

■それぞれの立場から、みなさんメッセージ

それでは、最後にみなさんから一言ずつお願いします。

岩崎さん>>
私たち小児科医は子どもが好きで、子どもを診る医者になっています。夜間救急もご両親が不安になってこられる施設なので、そのシステムを破綻させないよう医学部をもつ大学からも医師を出し合っています。激務の中で「ありがとう」の一言をいただけると、特に若い先生は、また頑張って行こうという気持ちになります。こういう世の中なので、泣いてしまって不安になって救急にきてしまう気持ちも分かります。「ありがとう」の一言で、私たちも気持ちよく働けると思いますので、夜間医療機関を使う方はその点で気をつかっていただけると大変ありがたいです。

山田さん>>
お医者さんの気の利いたひとことは、いつも大事かなと思います。また子育ての仲間が、いざというときにすぐに相談できるというのは本当に心強い存在です。日ごろ子育てをするなかで、ひとりで頑張らない、誰かの手を借りることを遠慮しなくていい、みんなで地域のひとも子育てするよというのを、伝えていきたいです。
パソコンやスマートフォンなど情報を収集することでかえって不安になることがあります。ぜひお母さんには仲間をつくることと、たくさんの情報の中から選択する力をもってほしいです。

蝶野さん>>
横浜もそうですが大都会では、ストレスがいっぱいありますよね。子育てママ達もストレスがたまっていると思います。余裕がないときに、なにかあったら相談できる、声をかけられる社会にしていかなければと思います。 街中で誰かケガをしたら、声をかけて先生の所に連れて行く。最初に声をかける人がいなかったら、運ぶことができません。「助けてくれよ」、と声があったら反応してあげる「大丈夫か」ってね。知らん顔して歩いてないで、転んで血を流している人がいたら、困った人がいたら「大丈夫か?」、「救急車呼ぶか?」って声をかけるだけで違うと思います。思いやりのある安心できるまち、小さな子どもからお年寄りまで安心して住めるまち、自分たちの手で、横浜をそんなまちにしていきたいなと思います。